大判例

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東京高等裁判所 平成10年(ネ)4071号 判決

1 預託金会員制のゴルフ会員権が、ゴルフ場施設の優先的利用権、年会費等の納入義務、退会時の預託金返還請求権等の権利義務から成り立つ債権的法律関係であり、本件倶楽部の会員権もそのような法的性質を有するものと解されるところ、預託金返還の期限が到来して以後は、退会の上預託金の返還を求める会員が増え、請求額がゴルフ場経営会社の支払能力を上回るようになれば、その倒産という事態も一般論としては考えられ、そのような場合には、ゴルフ場施設の利用権を行使することを求める会員の権利行使、単に会員の資格を維持することを望む会員の法的地位の維持が困難になることが予想され、そのような場合の利害の調整のため預託金償還につき一定の制約を定める会則を設けることが望ましいとはいうことができるが、そのことから、本件会則五条の「会社取締役会の承認を得て返還するものとする。」との文言が、右利害調整のために預託金返還請求権を制限するための規定である、あるいは、会社取締役会に利害調整のための措置として預託金返還請求権を制限する権限を与える趣旨の規定であると解するのが当然であるとは到底いえない。

2 被控訴人の本件倶楽部に対する預託金は二五〇万円と高額であるが、本件倶楽部の預託金の一口平均額はそれを上回る三六一万円であり、六〇〇万円、七七〇万円、一二〇〇万円の会員もいる(乙一三)。このような高額の預託金の返還請求権は会員にとって重要な財産であり、また、高額であるだけに控訴人にとっても正式開場から一〇年後に返還請求された場合、その返還義務が大きな負担となることは当初から知り得たことである。そうであれば、具体的な要件を明示して預託金の返還請求権の行使が制限される場合があること、そのための手続を会員契約の内容として特定し、開示するために、会則中にその内容を具体的に盛り込むことは何の支障もなかったものと推認される。そうであるのにそのような会則を定めないままに、広く公衆に販売する会員権の数百万円にのぼる預託金の返還請求権の制限を、「会社取締役会の承認」という抽象的な文言で包括的に規定し、ゴルフ場経営会社側の裁量のままに扱う趣旨であったとすれば、詐欺的商法との批判を免れず、そのような規定には何の合理性もない。

(矢崎秀一 西田美昭 榮春彦)

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